令和6年3月8日、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。
今回の改正案では、建設業での担い手確保のため
〇労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り
〇資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止
〇働き方改革や現場の生産性向上を図るための措置
が盛り込まれました。
改正の背景
建設業は、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため担い手の確保が困難とされています。
実際に、建設業就業者数は、1997年(685万人)をピークとして減少が続いており、2022年はピーク時比69.9%の479万人。そのうち、建設技能者はピーク時(1997年464万人)比65.7%の305万人と減少を続けています。
建設業が「地域の守り手」としての役割を将来に向かって果たせるよう、4月より適用となった「時間外労働規制」等にも対応しつつ、処遇改善・働き方改革・生産性向上に取り組む必要があります。
改正案の概要
労働者の処遇改善
@労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化
→建設業者は労働者の処遇確保のための取組みを行い、国はその取り組み状況を調査・公表。
A標準労務費の勧告
→労務費等の確保のため、中央建設審議会が「労務費の基準」を作成。
その基準に従い、著しく低い労務費等による見積もり書の作成や変更依頼を禁止する。
資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
@契約前のルール
→資材高騰など、請負代金や工期への影響を及ぼすリスクがある場合、請負契約を結ぶまでに受注者から注文者に通知することを義務化。また、資材の価格が変動した際における、請負代金等の「変更方法」を契約書に記載することとする。
A契約後のルール
資材高騰などのリスクが発生した際は、注文者は受注者からの協議に誠実に応じることを努力義務化。
働き方改革と生産性向上
@長時間労働の抑制
→長時間労働を抑制するため、著しく短い工期による契約締結を禁止する。
AICTを活用した生産性の向上
・国が現場管理の「指針」を作成
→特定建設業者や公共工事受注者に効率的な現場管理を努力義務化
・現場技術者に係る専任義務の合理化
・公共工事発注者への施工体制台帳提出義務を合理化
CCUS登録が更に重要に
今回の改正法案では、労働者の処遇と、現場管理の効率化に関する内容が多く盛り込まれました。
今後、CCUSを活用した処遇確保や効率的な現場管理が一層重要になってくるでしょう。
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