建設業には、禁止されている契約形態がいくつか存在します。
きちんと把握しておかないと、知らず知らずのうちに作業員を違法な状態で働かせてしまった、という事態になりかねません。
建設業における請負契約
建設業では「請負」という言葉をよく耳にするかと思います。
「請負契約」とは、工事の完成を目的とし、次の要件を満たす契約のことをいいます。
◇作業に関する指揮命令は労働者の所属する下請企業が直接行うこと
◇下請企業は請負った業務を元請業者・発注者から独立して処理すること
下図のように、労働者と雇用関係のある企業のみが指揮命令を行い、雇用関係の無い元請企業は労働者に対し指揮命令は行いません。
違法なパターン@労働者派遣
土木、建設の現場で行われる作業に直接従事する業務に、労働者派遣を行うこと及び受け入れることは、労働者派遣法違反となり、禁止されています。
労働者派遣契約を結んでいなくても、実態が労働者派遣と判断されれば、この法律に違反したことになります。
◇施工業者が雇用関係にない労働者(一般の作業員)に対し、直接仕事の内容や施工方法を指揮命令する
◇業者間で労働者の貸し借りを行う
◇他社から労働者派遣を受け入れる
上記は全て、労働者派遣法違反と成り得るケースです。
なお、同じ建設業であっても、現場事務所の事務員、CADオペ レータ、施工管理業務(工程管理・品質管理・安全管 理など)など、現場作業に直接従事しない労働者に関しては、派遣が可能です。
違法なパターンA労働者供給
労働者供給を業として行うことは、職業安定法違反となり禁止されています。
「業として」とは、一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に行うことをいいます。
一度きりの行為でも、反復継続する意思があれば「業として」行っていると判断されます。
こちらも、供給契約を結んでいるかに関わらず、実態として労働者供給と判断されれば違反となります。
◇労働者を施工業者に供給する
◇在籍型出向を行う
上記はどちらも職業安定法違反と成り得るケースです。
「応援」や「出向」という言葉を使っていたとしても、実態は労働者派遣や労働者供給に該当することがあります。
ご自身の働き方や、雇用する労働者について、上記に書いたような違法な契約形態となっていないか、一度確認してみてください。